NHKによると、
東京慈恵会医科大学の近藤一博教授らのグループでは、
多くの人が子どもの頃に感染する
「ヒトヘルペスウイルス6」というウイルスが脳の一部に感染すると、
ウイルスが持つ「SITHー1」という遺伝子が強く働くことを突き止めたとあり、
「うつ病の原因は、ウイルスが関与している可能性が分かった」 と近藤教授の言葉を発表しました。
医学の進歩には期待したいところですが、
「だからどうしろと?」
という思いもぼくのなかにはあります。
ぼくの場合は、
要領が悪く、
力を抜くことが出来なかったため、
どんどん仕事を振られたIT企業勤務時代の
過労が原因しているとしか思えません。
要領が悪いということもウィルスのせいだったのでしょうか?
それは「個性」であり、
ひとことでウィルスが原因だと言われても
腑に落ちないところがあります。
そして、
じゃあ、いま現にうつで苦しんでいる人をどう救えるのですか?
という疑問が湧いてきてしまいます。
将来的に治療に役立てる発見だったとしても、
いままさに苦しんでいる人は救えない。
それが「現実」です。
仏典には「毒矢の譬え」という説話があります。
概要は以下の通りです。
″遊歩中の男の足に毒矢が刺さった。
一刻も早く抜かなければ命が危ない。
友人たちは、
すぐに矢を抜き、治療しなければと勧めたが、
男は、
いや待て。この矢はだれが射たのか。
男か、女か。その者の名前は。何のために矢を射たのか。
矢に塗られた毒はどんな毒か。
それらが分かるまで、この矢を抜いてはならんと言い張った。
やがて全身に毒が回り、男は死んでしまった”
釈迦はこの話を通して、
いままさに苦しんでいる人にすべきことは、
まず手当をしなければならない、と説いています。
ウィルスの遺伝子が原因だーー。
このことは、
「気合が入ってないんじゃないの?」
「気持ち次第だよ」
そう言われつづけてきたうつ病患者にとって
救いになるかもしれません。
しかし、
いままさに苦しんでいる人を手当てできる話か?
と言われたら、
そうではないように思います。
ぼくは20数年前、
過労から
「重度のうつ」と診断されたことがありました。
それがきっかけで
沖縄に渡ってくることが出来たことは
とても幸せなことだったと思います。
決定的にこの「うつの呪縛」を解いたものは、
沖縄という文化であるとともに、
認知行動療法というメソッドに出会ったことだったと
ぼくには思えます。
そこにウィルスは関係ありません。
周囲にうつで苦しんでいる方がいたら、
ぜひ勧めてあげてほしい、と思います。
沖縄へ行け!
認知行動療法を学べ!
それだけでじゅうぶんです。
しかし、
それだけの時間をかけられない場合もあると思います。
そんなときにはたった一つ、
寄り添ってあげて!
と言いたいです。
そして、
マイナスに見える面もプラスに変換して「通訳」してください。
沖縄が弱者にやさしい文化を持っていることは、
沖縄自身が弱者だった(いまも?)からです。
弱者の目線まで降りて寄り添ってくれる文化に触れることです。
それだけでどれだけ救われるかわからない。
うつ病の発症にウィルスの遺伝子が関与している。
その発見は、
長期的に見れば何らかの改善が導き出されるかもしれない。
しかし、
いままさに苦しんでいる人にとっては薬にはなりません。
まだまだ「人の手」が必要なのです。
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